ayateck Local Stories

山形県酒田市の地域おこし協力隊・阿部彩人が、ローカルにある面白いものを、過去から現在そして未来へと続くストーリーを紐解きながらお届けするブログ。

【協力隊日記】酒田市「サンロク」でセミナー、大沢地域づくり推進モデル事業の事務局会、酒田にあった幻の修験道の話、酒田モシエノ大学で講師・船山裕紀さん。

先日5月16日は、酒田産業会館1Fにプレオープン中の「コワーキングスペース サンロク」で開催の無料セミナー「植物工場・野菜工場って何だろう ~最新動向について~」に行ってきました。

酒田産業会館には、今週末に開催される酒田まつりの提灯がたくさん。

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コワーキングスペース サンロクの外観。

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▼5月31日まではプレオープンで平日9:00〜18:00、6月1日〜30日はグランドオープンで平日・土日9:00〜21:00で、6月いっぱいまでは無料で利用できるようです。

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コワーキングスペースはこんな感じ。

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セミナーの方は、無料ということもあり参加者がたくさん。

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講師は野菜工場の施工実績が豊富な富士電機株式会社の方々。初期費用が億単位でかかったり、用地に最低でも1ha必要だったりと、導入にはハードルが高そうではありますが、最新鋭のテクノロジーで1年中安定した収量が得られたり、スタッフにしっかり週休2日制を導入できたりと、農業の新しい形を提示する事例がたくさんありました。

その後、大沢コミュニティセンターに戻って、地域づくり推進モデル事業の事務局会。

事務局会の前に事前打ち合わせ。

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大沢地区は、国の地方創生モデル地区に選ばれており、地域住民・行政の皆さんと一緒に地域づくり推進モデル事業として昨年より住民の方々との5回にわたるワークショップを行い、大沢地区の未来をどう作っていくのかを住民・行政が一緒になって考えながら進めております。

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今回の会議から私も参加しています。会議の中で、今が「生みの苦しみ」というお話も出ましたが、大沢の住民の皆さんが、生き生きと「わぐわぐ」しながら暮らしていくような地域づくりを、これから形にしていきたいと思います。

その会議の中で、大沢の地域資源として「注連石権現」(すみいしごんげん)という修験道の場所が話に出ました。大沢地区の住民の皆さんもその存在について良く知らないとのこと。

調べてみたところ、1986年の「広報やわた」に掲載されていました。

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【追記】注連石(すみいし)について | 山形の山 裏通りON-LINE
http://inage.raindrop.jp/wbs/?p=458

上記ページによると、酒田市教育委員会文化課の話として、次のような回答を頂きましたとのこと。

・注連石は、「注連石権現」として祀られているとのこと。《権現》と はすなわちカミ・ホトケの別なく祀るという意味であり、したがって明治の神仏分離よりずっと前よりあったことは推測されるが、しかし、言い伝えの文書 なども確認できず、詳しい謂れは分からない。

・この場は山伏の修験場だったとのことで、およそ次のルートで修行した。
【注連石権現で修験 → 新山権現、相沢大権現で修験(旧平田町地域にあり) →鷹尾山】
ほかにも鷹尾山に至る経由ルートがあったと推測される。

「鷹尾山」というのは、酒田市の東平田地区にある山。今は頂上のあたりがゴルフ場になっている。もう1ページ、興味深いサイトがあったのでこちらもご紹介。

2015.5.4 注連石と鬼のカケハシ(山形・弁慶山地)
http:// http://blog.livedoor.jp/yamasone/archives/1026703617.html

この山域一帯は過去に山伏の修験場であり、そのルートは注連石権現で修験の後、新山権現(場所不明であるが回峰順路としては弁慶山周辺か?)と相沢大権現で修験(ここは経ヶ蔵山のように感じる。)、その後鷹尾山で回峰を終えた。
現在、酒田CCゴルフ場になっている鷹尾山には三百坊谷地と言う湿地も現存している。
また『川南の羽黒』に対して『川北の鷹尾』と言う言葉があり、庄内地方に一大宗教勢力を誇った鷹尾山宝蔵寺は、新たに当地を治めた上杉景勝によって全て没収されたと言われている。 

現在は、鶴岡の出羽三山修験道としては有名ですが、その昔は、酒田にも鷹尾山を中心とした修験道があり、『川南の羽黒』に対して『川北の鷹尾』と言われていたとのこと。しかし、当地を治めた上杉景勝に追放されてしまい、山伏はすべて離散してしまったようです。

庄内の修験道 ~鷹尾修験~ | 山形の山 裏通りON-LINE
http://inage.raindrop.jp/wbs/?page_id=502

上記のサイトによると、以下のような興味深い記述も。

鷹尾山信仰についての初出は進藤重記の「出羽風土略記(宝暦十二年(1762))」。それによると、鷹尾山の衆徒は山麓に点在する富裕な農民で、無境で無年貢という理想郷のような惣容入会地で山間、山麓の村々が中心になって利用し、鷹尾山を山の神として信仰する修験者と称していたらしい。彼等は豊臣秀吉が行った太閤検地、刀狩り、なで切り令に反対し検地反対一揆を起こしたため、当時の領主である天地人で話題になった上杉景勝の仕置軍に追放されることとなった。

また。「酒田の伝説と伝承」(田村寛三著)によれば、敗走した衆徒の一部は真室川に隣接する青沢に逃れて「相蘇」の姓を名乗ったとのこと。「相」は再び、「蘇」は蘇るという意味で、「いつの日かまた山伏となり修験道を再興しよう」との夢を姓に託したのだそうだ。

上杉景勝から追放された、鷹尾山で修行していた衆徒の一部は、なんと、大沢地区の青沢に逃れて「相蘇」の姓を名乗ったとのこと。確かに、「相蘇」という姓の人が多いのです。

この鷹尾山を中心とした修験道の歴史については、改めて私の方で調べてブログにまとめたいと考えております。

昨日5月17日は、酒田モシエノ大学@酒田MUSIC FACTORYへ。講師は、山形県長井市在住の船山裕紀さん。

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▼これまでの講師の方々がパネルで展示されていました。

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▼今回の講師の船山さんのプロフィール。

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船山さんは、山形出身の仲間とバンド「SHIFT」を結成して年間100本というライブを行ったり、アメリカツアーを敢行したり。山形の映画館・シネマ旭の跡地を会場に2日間で2600人を集め伝説となった「DO IT 2008」を主催。2011年から長井市で「ぼくらの文楽」を実行委員長として開催し、現在は船山さんは主催から離れて長井市の西根地区公民館主催のイベントになっています。そして、「子供が生まれたことでなりたくなった」夢を叶え、昨年からおもちゃ屋Kimiを開店しております。

▼「DO IT 2008」のホームページの画像など。

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▼「DO IT 2008」の会場となっていた、山形の映画館・シネマ旭跡の写真とステージ図面図。映画館の椅子を全部スタッフが人力で外してステージを設営したとのこと。

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船山さんは私と同い年。私自身、東京に住みながら酒田で「もっけだフェスティバル」を主催していた時に船山さんにメールで「DO IT」のお話を伺ったり、宇都宮までSHIFTのライブを観に行ったり、2012年の「ぼくらの文楽」にボランティアスタッフとして関わったりする中で、船山さんの活動にはいつも衝撃を受けながら羨望しておりました。

▼今回のモシエノ大学での質疑応答の様子。お客さんの数も多く大盛況でした。

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船山さんのお話で心に残ったのは、「結果として楽しいことしかやっていない」「人に求められることしかしない」ということ。また、船山さんは「ぼくらの文楽」の2年目に発表した「10年計画書」で、10年でやめるということを先に言っています。「周りの人を巻き込む上で心がけることは、先に『やめる』と言うことが大事」だということも。「自分の頭だけで考えずに、みんなの頭で考える」ということも仰っていました。

▼ちなみに、私は1型糖尿病なのでインシュリンを打っているのですが、このインシュリンのケースに貼ってある黄色いステッカーは、2009年に宇都宮HEAVEN'S ROCKで開催されたSHIFTのライブを観に行った時に買ったものです。

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酒田モシエノ大学、非常に得るものの多い回でした。終了後には、船山さんが持ってきたボードゲームで盛り上がりました。

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これまで東京に住んでいた時には、酒田モシエノ大学には参加したくてもなかなか参加できなかったのですが、これからはいつでも参加できるということがめちゃくちゃ嬉しいです。

▼ちなみに、次回6月21日(木)のモシエノ大学の講師は、合同会社とびしま副代表・松本友哉さん。「島で暮らし、島で生きる。若者が変える飛島の暮らし。」だそうです。こちらも楽しみですの。

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せば、まず。